最近よく耳にする「家族信託(民事信託)」をご存じですか?
今回は、空き家対策として活用できるこの制度を、Q &Aにして分かりやすくご紹介します。
Q: そもそも信託とは何ですか? 銀行のサービスで耳にしますが、一般の人にも関係ありますか?
A: 信託とは、「信じて託す」という意味です。「預ける(寄託)」との違いは、託された側が契約に基づいて財産を管理・運用できる点です。この家族信託制度の背景には、1922年(大正11年)に制定された信託法の2007年(平成19年)改正があります。従来は信託銀行など営利目的の商事信託を対象にしていましたが、改正により家族間での民事信託が簡単にできるようになりました。
家族信託の基本的な関係者・役割は3者です。例えば、将来の空き家対策や介護費用の捻出として以下のような設定が可能です。
- 委託者:自宅不動産所有者であるお父さん
- 受託者:信託契約で信託財産(お父さんの自宅)を管理・運用する娘さん
- 受益者:信託財産から生じる利益(居住権、売却金、賃貸料など)を受け取るお父さん
お父さんが委託者として判断能力があるうちに、娘さんを受託者として信託契約を結びます。お父さんは受益者として信託財産から得られる利益を受け取り、娘さんは信託財産をお父さん(受益者)のために管理・運用・処分できます。
Q: 家族信託を「空き家」対策に使うメリットは何ですか?
A: 家族信託は家族(受託者)の存在で、遺言書や任意後見と比較して以下のメリットがあります。
- 生前から柔軟な財産管理が可能
遺言書では死後の財産分配しか指定できませんが、家族信託を利用することで、生前から財産を管理・運用・処分することができます。これにより、空き家の売却や賃貸などの対応も可能になります。
- 家庭裁判所の関与が少なく、家族内で柔軟に対応可能
任意後見は家庭裁判所の監督下で運営されるため、自宅売却など手続きや費用を要しますが、家族信託は信託契約に基づいて家族が財産を管理し、通常は裁判所の関与を必要としません。
以上となります。家族信託に関して、いつでもお気軽にご相談ください。
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