サポーターコラム

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地価公示価格と実勢価格の違いについて

まず、先日公表されました地価公示価格について、簡単にご説明致します。

地価公示価格は、地価公示法に基づき、国土交通省の土地鑑定委員会が、都市計画区域等において標準地を選定し、毎年1月1日時点の1㎡当たりの土地の正常な価格を判定し公示するものです。

これは、一般の土地取引に対して指標を与えるとともに、公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって、適正な地価の形成に寄与することを目的としています。

この公示価格は、全国で約170の分科会に所属する約2,300人の不動産鑑定士が全国の26,000地点について鑑定評価を行い、その鑑定評価額を基準として公表されています。

このように、地価公示価格につきましては、専門家が全国各地で十分に調査を行い公表が行われるものであるため、市場動向を把握するには非常に有用ではありますが、地価公示価格=実勢価格と考えることには注意が必要です。

まず、地価公示価格は、標準地上に建物等があったとしても、建物等はないものとして更地としての価格を算定しています。したがって、実際の空き家等の敷地には、老朽化した建物等が存在するため、実際の売買価格は、この建物等の取り壊し費用を考慮した価格となる場合が多いでしょう。したがって、必ずしも地価公示価格と同水準の価格で、空き家の敷地が売却できる訳ではありません。

また、地価公示価格は、その地域における標準的な規模や環境条件にある整形地の価格を公示していますので、たとえ地価公示の標準地が近くにある場合でも、規模や形状が異なる場合には、価格が大きく異なってくる可能性があります。

したがって、地価公示価格は、地域における標準的な地価水準を把握することに関しましては有用ではありますが、その利用にあたっては、不動産の個別性に十分に留意することが必要です。

最後に、先日、公表されました地価公示価格の概要をご紹介して終わりにしたいと思います。

国土交通省が3月26日に公表しました令和6年1月1日時点の地価公示によると、住宅地や商業地などを含む全用途の全国平均は、前年価格よりも2.3%上昇しました。全用途の全国平均の上昇は3年連続で、2008年のリーマンショック以降では、最大の上げ幅となり、上昇幅も概ね拡大しています。新型コロナウイルスの感染症法上の5類移行による、社会経済活動の正常化やインバウンド需要の増加も影響し、都市部を中心に地価の上昇傾向が反映される結果となりました。

「空き家どうする?サポーター」のご紹介
若杉不動産鑑定
若杉和宏(わかすぎ かずひろ)
専門分野
不動産鑑定不動産コンサルタント
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