サポーターコラム
Supporter column
今回は、空き家の敷地の一部が私道(公簿上の地目では、公衆用道路となっている場合が多い)である場合において、その私道部分の価値はどのようになるのか、考え方の一部をご紹介したいと思います。
私道については、単独で取引されることはほとんどなく、また、建物の敷地と一体として取引される場合においても、その内訳が明示されないことが一般的であることから、客観的な価値を把握することは非常に困難です。
まず、相続税、贈与税の算定の基礎となる財産評価基本通達によりますと、専ら特定の者の通行の用に供する私道の価額は、その宅地が私道でないものとして路線価方式または倍率方式によって評価した価額の30パーセント相当額で評価し、公共の用に供するもの、例えば、通抜け道路のように不特定多数の者の通行の用に供されている私道の価額は評価しないことになっています。
また、鑑定評価に活用されている「土地比準表」(地価調査研究会編著)では、私道の利用状況から判断して、これを、共用私道と準公道的私道に区分し、前者の場合の減価率を50%~80%(価値率20%~50%)、後者の場合の減価率を80%以上(価値率0%~20%)と定めています。そして、私道の価格は、道路の敷地の用に供するために生ずる価値の減少分を、上記の率の範囲内で、当該私道の系統、幅員等の事情に応じて判断し、当該私道に接する各画地の平均価格を減価して求めるものとされています。
従いまして、通常の宅地と比べると価値はかなり低くなりますが、私道の状況によっては、完全に無価値ではなく、一定の価値を有する可能性があることを知っておいて頂きたいと思います。